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2008/05/09に書いた日記

「大道寺さんって彼女いるんですか?」
俺はついうっかりその質問を口にした直後、しまったまずいことを聞いてしまったと思った。
だってそんなの聞くまでもないことだ、と思い込んでいたからだ。
自分の中では既に帰ってくる答えを決めつけていた。
『オタク = 彼女いるわけない』と。
その質問は苛酷な事実から目を背けている人をわざわざ現実に引き戻すことになってしまう。

けれど、大道寺さんは俺が想像だにしなかった答えを返した。
「彼女はいないよ。嫁ならいるけど」
そりゃもうびっくりしたよ。
俺の知らないところで天変地異が起こっていたのかと思ったくらいだ。
「えっ!マジですか?結婚してるんですか??」
そう言いながら俺の手はとっさに大道寺さんの左手の薬指を確認した。
でもそこには何もはまってなかった。
「いや、結婚っていうか…」
「え?嫁がいるって、結婚してるんですよね?」
「僕の嫁はさくらたんだけだよ」
俺はその言葉の意味を少し考えた。
そしてわかったよ。やっぱりこの人は妄想壁のある人なんだな。
「それは何かのキャラですか?」
「君は本当にものを知らないんだね。もっとNHKを見た方がいいよ」
と飽きれたように言われてしまった。
NHKか。適当な映像をタレ流して国民から視聴料を巻き上げる押売団体だと俺は思っていた。
特殊な映像で見たものを引きこもりにしてしまう敵国の工作機関だという陰謀説を唱える人もいる。
NHKの人体に影響を及ぼす放送電波で貧乳になってしまったという被害妄想を抱く人もいる。
進む高齢化、税金の無駄使い、NHKの受信料は俺の生活を苦しめる三大元凶だとさえ思っていた。
しかしまぁ意外なところに視聴者がいたんだな。
「大道寺さんはよくNHKを見るんですか?俺はそんなの全然見ないんですけど」
「NHKはアニメーションのクオリティが高いんだよ。
あれは受信料を払うだけの価値はあるよ」
やっぱりアニメのキャラかよ!
しかもそれを自分の嫁と言ってはばからないとは相当激しい妄想壁のある人だ!
まぁ、しかし俺のNHKに対する認識はあながち外れてもいなかった。
こうして立派なオタクを育成しているじゃないか。

俺は単刀直入に聞いてみた。
「今までに女と付き合ったことはあるんですか?」
するとまたしても予想外の答えが返ってきた。
大道寺さんは右人差指を自分の右頬にそっとそえ、右の瞼を閉じてから言った。
「禁則事項です」
大道寺さん、キモいです!俺は思わずその言葉が飛び出しそうになった。
でも、それって本当は可愛い女の子がやるべき事じゃないんですか??
    

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