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こなた、行きまーす!

現在俺と大道寺さんで開発中の製品、こなた。
どういうわけか開発は順調に進んでいた。
おかしな事だ。普通に考えればありえない。
残業よりもアニメを優先する大道寺さんがいるのにだ。
自主フレックスタイム制度と称する遅刻も居眠りも
日常茶飯事なのにも関わらずだ。
納期とは遅れるためにあるものだとばかり思っていたのにだ。
どういうわけだか極めて順調に進んでいる。
と、言うよりもむしろ大道寺さんは時間を余らせてさえいるらしい。
おかげで、こなたには当初の目的からかけ離れた機能が
ごてごてと実装されてしまっていた。

明らかに不要なLEDがたくさん埋め込まれている。
時期が時期ならクリスマスツリーの代わりになりそうなくらいだ。
「こんなにLEDが必要なんですか?」
と思わず聞いてしまった程だ。
「当然だよ、ユーザーインターフェイスは重要だからね。
使い易さ、わかりやすさは大事なんだよ?」
と大道寺さんが言った。
しかし、これではもはやこなたが何をする製品なのかすら
わからなくなってしまっている。
そう思っても大道寺さんに逆らうことなど許されるはずがない。
それに、こなたにはついつい触ってみたくなる魅力があった。
こなたを動かしてみたら、俺も幸せになれるだろうか?
そう期待させてしまう何かを備えていた。
「触っていいですか?」
「良いよ」
俺は電源を入れてみた。
するとどうしたことだろう。
明らかに不必要な15インチのグラフィックカラーディスプレイに
オーバークオリティなグラフィックが表示された。
画面いっぱいに会社のロゴが表示された後、
ロゴは画面の隅に小さくなって追いやられ
K onata:
O rganic
N ekomimi
A automatic
T ermal
A nalyzer
という文字が順次表示され、
『System Ready』
と言う文字が液晶画面の上部に設置された表示板に表示された。
そしてようやく操作が面画現れた。
まるで人型有人機動兵器のコックピットにいるかのような錯覚を覚えた程だ。
『GO』ボタンを押すとLEDが計算し尽くされた順序で華麗に点灯した。
『CLEAR』『CLEAR』『CLEAR』『LAUNCH』という文字も表示板上に順番に点灯した。
リニアカタパルトから発進でもするのかと思ったよ。
「こなた、行きまーす!」
とでも叫べば良かったのだろうか。
正直、俺は感動した。
「大道寺さん、すごいです!!」
こんな派手なグラフィックやLEDが必要なのか?
それは愚問だ。
確かに一見すると無駄に原価を押し上げているだけだろう。
しかしこの機能が必要不可欠なものであることは俺にも理解できた。
なぜ必要かって?
たぶんそれが男のロマンだからさ。
「そうですよね、大道寺さん!」

まぁしかしだ、優れたインターフェイスが実装されたことはわかった。
けれど一つだけわからないことがある。
こなたは何をする装置なのですか?
少なくとも、不必要な表示装置がごてごてと備えた概観からは、
本来の機能を推察することは不可能だろう。
けれども、こんな有様のこなたをみて一番喜んでいたのは、
意外にも部長だった。
部長も、こなたに触れて幸せになった口なんだろう。
    

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