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大人は制服少女に見とれて遅刻なんてしねぇんだよぉ!
今日も大道寺さんはいつもの様に遅刻をしてきた。
「おはようございま~す」
と全く悪びれる様子もなく。
しかし今日はいつもにも増して、少しばかり遅かった。
「何かあったんですか?」
と俺は聞いてみた。
「制服が夏服に変わる季節だからね」
そんなわけのわからない答えが返ってきた。
「どういう意味ですか?制服ってどこの制服ですか?
夏服になるとどうして大道寺さんが遅刻するんですか?
そもそも大道寺さん、ビジネスカジュアルどころか、
思いっきりカジュアルで制服とは無縁な服装じゃないですか?」
その様は、まるでこれから秋葉原の町にでも繰り出すのかと思ってしまうくらいだ。
「青く澄んだ空、照りつける太陽!
下着が微かに透ける白いブラウス!!
露になった細くて白い腕!!素晴らしいじゃないか?」
俺は一瞬言葉を失った。
「それはつまり…?」
大道寺さんの発する言葉の先を聞くのが少し恐かった。
聞かなくても何を言おうとしているのかわからないわけでもなかった。
この人はきっととんでもないことを口にしようとしているに違いない!
「やっぱり制服少女はいいよね~、とか思って見てたら道間違えちゃったんだよ」
大道寺さんは自転車通勤をしている。
『だって電車嫌いだもん。僕を待たせるなんてあり得ないでしょ??』
と言うのがその理由らしい。
「どうしていつも通っている道を間違えるんですか!?」
「いやね、本当は今日こそ遅刻しないでおこうと思っていつもよりも早く家をでたんだよ?
そしたら制服少女たちがいっぱい登校してる時間と重なっちゃってね。
それでいつもは見かけない可愛い子がいたからね~…つい…」
「…それが…遅刻の理由ですか??」
そんな理由で会社に遅れてくるなんてとんでもない奴だ。
社会人としての自覚はあるのか!?
と言うか、大人としての自覚はあるのか??
「ううん、違うよ」
「え??じゃあ何で遅刻したんですか!?」
「一応ね、ぎりぎりに駐輪所に到着したんだよ。
そこから走ったら間に合ったんだけどね、ちょっとアクシデントがあったんだよ」
「アクシデント??何ですか、それは?」
「自転車を端から全部倒しちゃった女の子がいたんだよ。
それが結構な台数でね、可哀想だな~って事で助けてあげたんだよ?」
「それで遅刻したんですか?」
「そうだよ~。困ってる女の子は助けてあげないといけないでしょ?
こんなに可愛いドジっ娘は滅多にいないよ?
ドジっ娘は人類の宝だからね、保護してあげないと。
遅刻がどうとかって些細な事気にしてちゃダメなんだよ!
そんなことよりも大切な事があるんだから。
心にゆとりを持たないといけないんだよ。
遅刻くらいでがたがた騒ぐようじゃ出世しないよ?」
大道寺さんはそんな言い訳をした。
とりあえず、反省はしていないらしい。
きっとまた明日も遅刻なんだろう。
「それにしてもリリアンの制服って可愛いよね?」
「リリアン??何ですか、それ?」
「何って、この辺にある学校でしょ?毎朝登校中の学生を見かけるけど??」
リリアン…とりあえず俺は会社の近くにある学校を全て思い浮かべてみた。
けれど、何をどう考えてもそれらしい名前の学校は思い当たらない…。
「さっき話してた、大道寺さんを惑わせて道を間違えさせた制服の子がいる学校ですか?」
「そう、そこ」
「そこは女子高でもなければカトリック系の学校でもないですよ??
普通の共学の公立高校ですよ?野郎もいっぱいいたんじゃないですか?」
「あれ??そうだったかな??気がつかなかったな…」
つまりは、男子の存在が目に入らないほど少女たちに熱い視線を送りつづけていた危ない人だ、
という理解で間違いないのだろう。
「でも夏はニーソな娘が減っちゃうから残念だよね~」
「大道寺さん…危ない話はそれくらいにしてそろそろ仕事しませんか?
ただでさえ遅刻してるんですから…」
俺がそう嗜めたら大道寺さんはあからさまに不機嫌そうな顔をした。
「…絶対領域!!」
突然そんなことを叫ぶことにどんな意図があったのか俺にはわからない…。
きっとこの人もこの夏の暑さで理性が焦げ付いたんだろう。
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