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実の妹がいるやつは妹萌えしねぇんだよぉ!!
俺は一人で休日出勤をしていた。
会社に行ってみると他の人もいたのだけれど、
まぁこの際それはどうでもいい。
大事な事は俺が一人で仕事を片付けていたって事だ。
仕事も切りのいいところまで進んだから、
そろそろ昼ご飯でも食べようかと外に出た。
会社の近くには食事をするところなんて悩む程たくさんある。
今日はファーストフードを買って会社で食べようかと思った。
そしてファーストフード店のあるショッピングモールへと向かった。
休日のその場所は家族連れとかカップルとかで賑わっている。
土曜日だというのに仕事もしないでこいつらは何をしてやがるんだ!?この暇人共め!!
俺は心の中でそう叫んでしまった。
ほんの数ヶ月前、俺も暇人だった頃が遠い過去の記憶のような気がする。
そんな時、俺の前を見覚えのある後ろ姿が歩いている事に気づいた。
もしや俺に仕事を押し付けて休んでいやがる奴ではないか!
が、しかしすぐ隣には女の子の姿があった。
奴には一緒に並んで歩いてくれる女などいるはずがない!と思い込んでいたものだから、
まぁ人違いだろうと片付けかけた。
しかし、女の子の方に視線を向けたその人物の横顔は、やっぱり奴に似ていた。
しばらく後ろをついて歩いていると奴は駐車場内の横断歩道手前で止まった。
その隙に俺も背後まで近づき、確認した。
そして思い切って声をかけてみた。
「あの、大道寺さん?」
すると俺の前に並んで立っていた二人が同時に俺の方を振り向いた。
左側に立っていたのはやっぱり大道寺さんだった。
そっくりさんでも、世界に五人いると言われている同じ顔の人間でもない。
正真正銘、俺の知っている大道寺さんだ。
「沢村さん、こんなところでどうしたの?」
なんて俺の名前を知っていたんだから間違いない。
では、さっきから大道寺さんの隣に並んで歩いていた少女は一体誰なのか!?
不思議そうな目で俺を見ているこの美少女とは一体どういう関係なのか!?
俺はそれが気になって気になってしかたがなかった。
あどけなさの残る整った顔立ち、低めの伸長、スリムな体型から推察するに
おそらく中学生か高校生くらいだと思われる。
その子の特徴を一言で言い表すならば、大道寺さんの大好きな制服少女だ。
漆黒のとても長い髪のその娘は美少女と形容するにふさわしい。
そこでさっきの疑問が再び浮かび上がってくるんだ。
このとても可愛らしい制服少女と大道寺さんの関係は一体…?
俺は大道寺さんの腕を引っ張って、その娘から離れたところに連れていった。
「どこで誘ってきたんですか!?
まずいですよ、大道寺さん!やばいですよ!エンコーは違法じゃないですけど、
買っちゃったらやばいですよ!?捕まりますよ!?逮捕ですよ!!
オタクなんだからワイドショーで派手に叩かれますよ!」
と俺は忠告した。既に手遅れでないことを祈りながら。
「何をわけのわからないことを言ってるんだい、君は??」
と大道寺さんはしらをきった。
そんな時、俺は驚くべき言葉を耳にした!!
「お兄ちゃ〜ん!信号変わったよ〜!!」
俺は驚いて振り向いた。どうやらあの少女が叫んだらしい。
「大道寺さん、そんな趣味があったんですか!?
そんな呼び方をさせるなんていよいよやばいですよ!!」
きっと最近のエンコーには『お兄ちゃん』と呼ばせるオプションが存在するのだと俺は理解した。
他にも『ご主人様』とか、『パパ』とかがあるに違いない。
「ねぇ、わけのわからないこと言ってるならもう行って良いかな?妹待たせてるんだけど?」
大道寺さんがそう言った。
「えっ!?妹!?大道寺さんの妹ですか!?実の妹ですか!?時間限定の妹とかじゃなくてですか!?」
「何言ってるの??当たり前でしょ?」
「その割には…」
俺は大道寺さんとその娘の顔を見比べてみた。
「全然全く微塵も似ていませんね…」
「兄妹は似ていなければいけないと一体誰が決めたんだい??」
果してその言葉は一体どこまで信用していいものなのかと俺は悩んでしまった。
「沢村さんは休日出勤?これからお昼?良かったら一緒に食べにいく?」
せっかくそう誘われたから一緒に昼ご飯を食べることにした。
一人で昼ご飯を食べるのは寂しいからね。
それに、やっぱり気になるじゃないか。この二人の本当の関係が。
危険な獣の毒牙から子供を守るのは大人の義務だろ?
まぁしかしここでは大道寺さんに話を合わせて妹だということにしておこう。
「沢村くん、妹の知世だよ」
なるほど。
着ているものは某有名私立の小学校の制服でもなければ、
ふりふりのフリルがたくさんついたドレスでもない。
『お兄様、信号が変わりましたわ』なんて物静かな言葉遣いをしていたわけでもない。
けれども、前髪を眉のあたりで一直線に切りそろえ、
左右の髪を顎の辺りで切った所謂姫カット。
腰に届く辺りまであろうかという程の長く黒く艶やかな髪。
知世という名が相応しいと思った。
しかし少女はそれを否定した。
「もぉっ!またそんなこと言ってる!!」
そう言って一応兄を睨んだ。
「大道寺 美奈です」
少女は俺の方に向きなおってぺこりと丁寧に頭を下げた。
「沢村 優です」
俺も彼女に倣って頭を下げた。
「高校生?」
と彼女に聞いてみた。
中学生か高校生かわからなかったけれど、
相手が二十才未満ならばとりあえず年上に答えておけば失礼はないだろう。
「はい」
「あまり見慣れない制服だけどどこの学校?」
「京安女子高校です」
俺はそれを聞いて驚いた。
なぜってそれは東大も京大も決して夢ではない、難関の私立の女子高等学校だったからだ。
辛うじて通学圏内に入る距離にある学校だから、制服を見慣れないのも無理はない。
しかしそんな才女が大道寺さんの妹だとは…俄には信じ難い。
けれどもそんな才女がエンコーなんて事をするともまた考え難い…。
…ひょっとしてコスプレで妹設定のエンコーか??
それがもっともあり得そうな答えだと思った。
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